森本絵利 ー contour map ー
2022年12月6日 (火)ー24日(土)
正午ー午後7時 / 土曜午後5時まで
月曜・日曜・祝日休廊
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見えている(と思っている)世界、、、自身の感覚が捉えている限界の、そのもう少し先を想像してみます。限定的でとても恣意的に知覚し得るその世界の、もう少し外側、、、。
自分と世界の境界線はとても曖昧で、それは時々に両側を入り混じらわせ得る柔軟な膜のような存在に思えることがあります。
作品を制作する際、具体的なモチーフは(限定的で恣意的な)感覚で捉えられる、目の前でゆっくりと降り積もってゆく埃が織りなす絶妙な紋様のようなものや、あるいはぼんやりと触覚が伝えてくる湿度であったりします。ガラスに結露してゆく様子を眺めながら、次第に大きくなる水滴の質的変化が可視化される瞬間をとても貴重に感じるのだけれども、壮大かつ密やかな現象と呼ぶにはあまりにも当然のように、それらは膜のすぐ外側で淡々と繰り広げられているようです。
イメージを描かないようにするために、例えば微細な絵の具の点を画面に並べるというシンプルな行為に置き換えてみます、
私の感覚のままに「並べる」というのはモチーフに対して乱暴なふるまいであるような気がするので、写真を撮り、スケッチを重ね、あるいはそれらを拡大・縮小し、色や形の分類・統計をとるなどの試みを経て、少しでも対象に近づけはしないかと期待しながらの行いです。
しかしながら同時に、それらのプロセスすべてもまた自分勝手な限定的なものだと知ることであり、対象への途方もない距離を感じます。そして「微細な」絵の具の点というのも、果たして大き過ぎるのか小さ過ぎるのか、どの場所から対象を考えてみるかによってますます判然としなくなります。とは言え、時間をかけてひとつひとつの作業を積み重ねてゆく中で、不意に生じる誤差は何かしらモチーフが内包する揺らぎに似ているような気もして、好意的に思えます。
それぞれのモチーフに共通している私の興味の対象というのは、自身が見えている(と思っている)世界と、その外側との間の境界線あるいは膜、自体なのだろうと考えています。
→ 作品写真

「contour map # humidity - blue grey (edge)」 2022年
パネルに綿布、アクリル絵具 257×364 mm (75,500 dots)